令和4年度新興国等におけるエネルギー使用合理化等に資する事業(省エネ・新エネ等のマルチ・バイ枠組における国際動向調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、2022年度における世界の省エネルギー・再生可能エネルギー推進に関するマルチ国間枠組みでの国際動向調査について書かれた報告書である。
2022年はロシアのウクライナ侵攻により世界のエネルギー市場が激変した年となり、歴史的なエネルギー価格高騰が発生した。欧州を中心に工業需要が落ち込む中、各国政府は大規模な緊急支援対策を実施し、途上国の支援予算はクリーンエネルギー投資総額を上回る規模となった。こうした状況下で行動変容による節電・節ガス対策への注目が集まり、特に日本の東日本大震災後の節電行動に対して再度関心が寄せられた。
省エネルギー分野では、エネルギー価格高騰により効率機器や断熱改修への需要が高まったものの、サプライチェーンの不安定性や建築関連人員不足により進捗が鈍化している。IEAによると、ネットゼロシナリオ達成には2030年まで現在の2倍のペースでエネルギー効率改善を継続する必要があり、途上国では機器の省エネ基準策定が急務となっている。
再生可能エネルギー分野では、2022年の世界全体での発電設備容量が過去最高記録を大幅に上回る350GWに達し、特に太陽光発電の増加が著しく200GWを超える水準となった。再エネ発電量は前年比10%増加し、発電量に占めるシェアは30%を超えた可能性がある。ウクライナ危機によりエネルギー安全保障問題が急浮上し、自国産エネルギー資源としての再エネの重要性が強く認識され、EUのREPowerEUプランをはじめとする各国の政策により今後も成長が継続すると予想される。
本調査では、IEA、IRENA、CEM、APEC等のマルチ枠組みにおける省エネ・再エネ関連の国際会議に参加し、情報収集と日本の先進的取組の紹介を通じて国際協力を推進した。今後は気候変動対策とエネルギー安全保障を両立させた政策の重要性が増しており、マルチ枠組みを通じた知見共有と支援強化が重要である。
