令和4年度スタートアップ起業家の再チャレンジに関する実態調査報告書
報告書概要
この報告は、スタートアップ起業家の再チャレンジに関する実態について書かれた報告書である。近畿経済産業局が起業家の失敗後の再チャレンジしやすい環境整備を目的として実施した調査で、全国2,000社を対象に328社から回答を得た。スタートアップ企業は革新的イノベーション、短期間成長、IPO・売却目標を持つ企業と定義され、失敗は資金繰り悪化、共同経営者との決裂、人材不足などの事象とされた。起業理由では「独立志向が強かった」が46.5%で最多、次いで「実現したいビジョンがあった」が43.1%となった。全体の75.6%が「起業家になってよかった」と回答し、その理由として「自分の裁量で動ける」「やりたいことに挑戦しやすい」が上位となった。今期売上高は72.0%が前期比増加し、84.8%の企業が何らかの経営失敗を経験していた。再チャレンジした企業の90.0%が「再チャレンジしてよかった」と回答している。起業時に必要な公的支援では「資金調達支援」が48.3%で最多だったが、実際の公的支援活用は73.2%が「特になし」と回答した。再チャレンジの課題では資金調達の困難さが45.9%、心理的ハードルが21.6%となった。調査結果から、資金調達制度の利用条件緩和や情報発信手段の改善、SNSを活用した若年層への情報発信強化が提案された。また、失敗は誰にでも起こりうることであり、多くの起業家が起業や再チャレンジを肯定的に捉えているメッセージを起業関心層に伝えることの重要性が指摘されている。
