令和4年度産業経済研究委託事業(連系線確保量α、βの適正な算出及び調整力関連データの集約と価格分析に係る調査事業)成果報告書

掲載日: 2024年2月15日
委託元: 経済産業省
担当課室: 電力・ガス取引監視等委員会事務局ネットワーク事業監視課
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令和4年度産業経済研究委託事業(連系線確保量α、βの適正な算出及び調整力関連データの集約と価格分析に係る調査事業)成果報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、電力市場の需給調整における連系線確保量の適正算出と調整力関連データの価格分析について書かれた報告書である。2023年3月に有限責任監査法人トーマツが経済産業省向けに作成した成果報告書であり、令和4年度産業経済研究委託事業の一環として実施された調査結果をまとめている。

報告書は主に4つの業務から構成されている。まず三次調整力②の連系線確保量αの見直し業務では、2021年4月に開始された需給調整市場の実績データを踏まえ、三次調整力②と時間前市場の両方の影響を考慮したα値の精査を行った。制度設計専門会合で定められた考え方に基づき、連系線確保量α算定ツールを作成し、三次調整力②の広域調達によるメリットと時間前市場分断によるデメリットを定量化して最適値を算定した。

次に三次調整力①の連系線確保量βの見直し業務では、2022年4月から開始される三次調整力①の広域調達時におけるスポット市場および時間前市場との地域間連系線競合問題に対処するため、β算定ツールを作成した。最新の実績データに基づき、調整力電源の市場投入分を除いた広域調達メリットを算出し、より精度の高い算定を実現した。

調整力関連データの集約ツール作成業務では、需給調整市場の監視業務効率化を目的として、大きな支配力を有する事業者を特定するためのデータ分析ツールを開発した。日々の応札および約定データを事業者別、ユニット別、エリア別に多方面で分析し、時系列での傾向分析や他市場との相関分析により、不正な入札行動を客観的に抽出できるシステムを構築した。

最後に調整力関連データの価格分析ツール作成では、需給調整市場における全電源を対象とした価格監視を簡易化するため、情報収集フォーマットと価格規律監視ツールを開発した。需給調整市場ガイドラインで定められた価格規律に基づき、逸失利益、限界費用、固定費回収額等が適切に計上されているかを効率的に確認できるシステムを整備し、価格規律を満たさない入札を機械的に抽出する機能を実装した。