令和4年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(工業炉及び産業用ボイラにおける二酸化炭素排出等実態調査)
報告書概要
この報告は、工業炉及び産業用ボイラにおける二酸化炭素排出等実態について調査した報告書である。経済産業省が委託した本調査は、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けて、製造分野の熱プロセスにおけるCO2排出状況と脱炭素化への取り組み実態を把握することを目的としている。調査対象は省エネ法における第1種エネルギー管理指定工場等約5,000件であり、2,342件から回答を得て回答率47%を達成した。工業炉については全国に3.7万台が存在すると推定され、鉄鋼、非鉄金属、自動車、電気電子、窯業、化学工業等の多くの産業分野において、溶解、精錬、加熱、熱処理、乾燥等の工程で使用されている実態が明らかとなった。産業用ボイラは食品加工、機械製造、電機電子、化学工業等の分野で加熱、乾燥、熱供給用途として幅広く活用されている。調査結果から、工業炉の種類別台数状況、使用年数、稼働状況、省エネ技術の導入状況、今後の省エネ技術導入意向、燃料転換意向等の詳細な実態が把握された。産業用ボイラについても同様に、保有状況、産業界別台数、使用年数、設備容量、蒸気温度、省エネ技術導入意向、燃料転換意向等の包括的な分析が行われた。さらに、カーボンニュートラル化に向けた各企業の活動実態とGX・サプライチェーンの将来見通しについても調査が実施され、今後の政策立案に向けた基礎データが整備された。製造分野の熱プロセスが国内CO2排出量の約28%を占める中、熱源設備のゼロエミッション化、すなわちゼロエミ燃料の導入、電化、省エネ技術の組み合わせによる脱炭素化の推進が重要な課題であることが確認された。
