令和4年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(産業保安に関する海外動向調査等事業)
報告書概要
この報告は、欧米における石油精製・石油化学業界のスマート保安技術導入と産業保安規制の国際調和に関する調査について書かれた報告書である。経済産業省が推進するプラントの高経年化や人材不足に対応するスマート保安技術導入の参考として、日本より老朽化が進む欧米の取組を調査したものである。調査対象は欧州では英国、スペイン、ドイツ、フランス、米国ではテキサス、ルイジアナ、カリフォルニア州とし、現地調査やヒアリングを含む包括的な調査を実施した。欧州においては、TotalEnergiesが2020年にパリにデジタルファクトリーを開設し年間20億ドルのテクノロジー投資を行うなど、主要企業がAI、IoT、ビッグデータを活用したデジタル変革に積極的に取り組んでいる。Shellはドローンやブロックチェーンから得る大量データを機械学習で処理し、BASFは量子コンピューティングへの投資を進めている。欧州労働安全衛生機関はデジタル化が労働安全衛生に与える影響を調査し、効果的な管理と規制の必要性を指摘している。産業保安分野では国際フォーラムにおける先進的取組の情報共有が活発化しており、各種規格の国際調和への取組が個別分野ごとに進められている。調査結果として、老朽化インフラのコスト削減や環境配慮メンテナンスソリューションとしてスマートメンテナンスが活用され、資産管理監視やエネルギー効率化制御の高度デジタル化技術が企業の戦略見直しを支援していることが明らかになった。
