令和４年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業（特定中小企業者申請プラットフォーム構築に向けた実証研究事業）調査報告書

この報告は、経済産業省が実施した特定中小企業者申請プラットフォーム構築に向けた実証研究事業について書かれた報告書である。新型コロナウイルス感染症拡大によって売上が急減した中小・小規模事業者を支援するため、令和2年5月から実質無利子・無担保で最大5年間元本据置のゼロゼロ融資が措置されたが、この制度利用に必要なセーフティネット保証や危機関連保証の認定手続において、市区町村窓口での対面手続が必要であり、コロナ禍での事業者の窓口殺到や認定事務の複雑さが課題となっていた。この問題を解決するため、関係機関間を電子ネットワークで繋ぎ、迅速な認定手続を実現する電子申請サービスのプロトタイプを構築し、その有効性を検証した。実証研究では、事前調査から要件精査、プロトタイプ構築、サービス内容確認、検証リリースまでのプロセスを経て、3サイクルにわたってシステム改善を実施した。クラウド上にSalesforce Servicesを活用したシステムを構築し、中小企業者による直接申請と金融機関による代理申請の両方に対応可能とした。19の自治体が参加し、市区町村、都道府県、金融機関、信用保証協会といった関係機関による検証を行った。利用者からのアンケートやヒアリングを通じて意見収集を行い、システムの改善点を特定した。検証結果として、申請者である中小企業者や金融機関にとっては作業効率や利便性の向上が認められたが、市区町村の審査業務においてはシステム上のデータと添付書類の突合作業が必要であるため、審査業務効率の向上効果は限定的であった。