令和4年度地球温暖化問題等対策調査(我が国における資源効率性の向上に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、リチウム蓄電池を起因とした発煙・発火事故の低減を目的とした調査について書かれた報告書である。近年、電気電子機器の高機能化に伴い、小型で高性能なリチウム蓄電池を使用する製品が普及しており、今後廃棄物として排出される機会が増加することが想定される。小型家電に含まれるリチウム蓄電池が市町村の可燃ごみや不燃ごみ、容器包装プラスチックごみに混入し、ごみ収集や中間処理の過程で衝撃が加わることによる発火・発煙事例が報告されている。特にEC取引の隆盛により、輸入製品も増大し、法施行当時には想定されなかった製品や流通経路が現れている。調査では、リチウム蓄電池の分別徹底に向けた表示、設計、回収、廃棄方法等について、製造事業者、流通事業者、リサイクル事業者、有識者からヒアリングを実施し、消費者アンケート調査も行った。また、ECサイトで販売される製品の表示状況や自主回収の実施状況を調査した。関係者13名による事業者等検討会を4回開催し、ライフサイクル全体における発煙・発火防止策を検討した。調査結果を踏まえ、「LIB等を混入させない対応策」「LIB等の混入を想定した対応策」「その他周辺環境の整備」という3つのテーマに分類し、各関係者の役割を明確にしたアクションプランを作成した。最終的に、自治体における適正な収集区分の設定、製造・輸入事業者による回収強化、消費者が認識できる表示等、易解体設計の促進を柱とする対策の方向性が示された。
