令和4年度コンテンツ海外展開促進事業(著作物等の簡素で一元的な権利処理の実現化に関する調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、著作物等の簡素で一元的な権利処理の実現化について書かれた報告書である。経済産業省による令和4年度コンテンツ海外展開促進事業の一環として、PwCコンサルティング合同会社が実施した調査の結果をまとめたものである。
コンテンツ市場の量的・質的な構造変化が進行する中、日本のコンテンツ関連市場拡大のためには、膨大かつ多種多様な著作物について簡素で一元的な権利処理が可能となる環境整備が必要とされている。文化審議会著作権分科会の2021年12月の中間まとめでは、分野を横断する一元的な窓口の創設と分野横断権利情報データベースの活用、さらに著作権者が不明・連絡不通等の場合における新しい権利処理の仕組みの創設が方針として示された。
本調査では、個人クリエイターを対象としたアンケート調査とコンテンツ事業者・個人クリエイターを対象としたインタビュー調査を実施し、検討中の一元的な窓口における窓口機能に対するニーズと具体的なユースケースを明らかにした。調査は一般社団法人日本ネットクリエイター協会の協力を得て、41名の個人クリエイターからの回答を得た。
個人クリエイターからは、権利者の視点では自身のコンテンツ登録や利用ルールの意思表明に対するニーズが確認され、利用者の視点では分野横断での権利情報検索および権利者不明時や音信不通時にも利用可能となる新しい権利処理の仕組みに対するニーズが確認された。コンテンツ事業者からも、ドキュメンタリー番組制作時のアーカイブ素材利用、バラエティ等制作時のユーザー生成コンテンツ利用、ドラマ制作時の外部素材利用などにおいて同様のニーズが確認されており、分野横断での権利情報データベースの構築と新しい権利処理の仕組みが実現すれば、個人クリエイターとコンテンツ事業者の双方に寄与するものと結論付けられている。
