令和4年度原子力産業基盤強化事業(原子力産業基盤を支えるサプライヤーの状況整理と事業継続施策案の構築(BWR))事業報告書
報告書概要
この報告は、原子力産業基盤を支えるBWRサプライヤーの状況整理と事業継続施策案の構築について書かれた報告書である。2021年第6次エネルギー基本計画で示された2030年の原子力電源比率20-22%および2050年カーボンニュートラル達成のため、BWRの再稼働が必須であるが、福島第一原子力発電所事故以来10年以上にわたる受注案件の激減により、原子力産業を支えるサプライヤーの事業継続が困難な状況にある。BWRは33基中再稼働が0基という厳しい状況で、サプライヤーの先行き不安が深刻化している。本事業では東芝エネルギーシステムズと日立GEニュークリア・エナジーが共同でサプライヤー事業継続のための具体策案を構築した。国内外の事例調査では、米国等でのサプライヤー情報発信、スペアパーツ在庫管理、デディケーションサービス等の仕組みを調査し、国内適用の可能性を検討した。機器とサプライヤーの分類整理では、人材不足や高齢化、OJT機会の減少、経営判断による撤退等の要因を分析し、ATENAガイドラインの対応策に加えて対処策と予防策を抽出した。具体的施策案として、作業機会を補う訓練機会創出、長期保守契約による業務機会確保、原子力将来性の理解活動推進、予備品確保による代替調達手段整備、CGD活用による一般産業品採用範囲拡大等を提案した。特にCGDと予備品化は、代替サプライヤー選択肢拡大やプラント運用影響緩和のメリットがあり、定検短縮や合理的OLM実現等の付加価値も期待できる有望な手段である。施策実行にはサプライヤーの経済的負担への支援配慮が必要であり、施策案と支援の効果的組み合わせにより、原子力発電プラントを支えるサプライヤーが事業継続できる仕組み整備が重要である。
