令和4年度中小企業実態調査事業(商業集積地における機能・協働のあり方と地域経済圏の市場変化に関する調査分析)報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度に実施された商業集積地における機能・協働のあり方と地域経済圏の市場変化に関する調査分析について書かれた報告書である。
本調査は商店街実態調査データの整理・分析、商業集積地の再興に取り組む第三者組織の実態調査、商圏・商圏人口に関する調査、次世代まちづくり人材の育成に係る実態調査、国の施策整理という5つの主要項目で構成されている。商店街実態調査データの分析では、平成15年から令和3年にかけての継続調査データを活用し、カネ・ヒト・組織・モノ・資産の観点から商店街の特徴を整理した。店舗数は平成18年をピークに減少傾向にあり、令和3年の平均店舗数は61.3店舗となっている。
第三者組織の実態調査では、まちづくり会社等の活動実態を把握し、持続可能な組織運営のための課題を明らかにした。商圏調査では、人口減少社会における商圏拡大の方向性として、面としての集積強化か個店努力促進かの判断が必要であることが示された。空き店舗活用やテナントミックスについては、従来の拠点整備だけでなく個店の努力が重要であり、家賃相場の低い地域では付加価値の高い商品展開が効果的であるとの知見を得た。
次世代まちづくり人材育成では、愛媛大学社会共創学部や専修大学の事例を通じて、実践的な地域課題解決型教育の重要性が確認された。まちづくり会社の資金調達については、収益事業創出の困難さから、固定資産税減免等による投資促進制度の必要性が指摘された。報告書全体を通じて、商業集積地の持続的発展には、個店・組織・人材・制度の多面的なアプローチが必要であることが明らかとなった。