令和4年度産業経済研究委託事業(「(大企業向け)賃上げ促進税制」及び「人材確保等促進税制」の利用状況に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度における「(大企業向け)賃上げ促進税制」及び「人材確保等促進税制」の利用状況に関する調査について書かれた報告書である。調査は税制の円滑な運用の観点から、法人からの各種問い合わせ対応を行うとともに、問い合わせ内容の分析を通じて今後の税制改正要望を見据えた実務上の課題等についての検討を目的として実施された。人材確保等促進税制では2022年7月から2023年3月までに2,027件の問い合わせが寄せられ、月平均225件となり前年度の182件から大幅に増加した。問い合わせ企業数は792社で月平均88社となった。問い合わせ内容では通常要件に関するものが約9割を占め、給与関係が6割、雇用者関係が2割を占めた。助成金関係の問い合わせでは雇用安定助成金の控除や助成金控除のタイミング等に関する質問が多く、退職者・休職者関係では1年未満で退職した者の扱いや退職者の再雇用に関する問い合わせが寄せられた。上乗せ要件では167件の問い合わせがあり、教育訓練費の支払証明に関する添付書類や資格取得に係る費用が教育訓練費に該当するかといった個別の費用に関する問い合わせが多かった。賃上げ促進税制では2,491件の問い合わせがあり月平均約277件となった。給与関係が4割、雇用者関係が2割を占め、出向・異動した雇用者や高齢の雇用者、休職者に関する問い合わせが多く見られた。また、マルチステークホルダー方針の公表が要件として加えられたことにより、従業員の範囲や記載方法に関する問い合わせが全体の2割を占める結果となった。
