令和4年度地域経済産業活性化対策調査事業(中国地域におけるSDGs経営推進事業)事業報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度における中国地域での持続可能な開発目標(SDGs)経営推進事業について書かれた報告書である。国連でのSDGs採択から6年が経過し、中国地域においてもSDGsに関する認知度は高まっているものの、大企業と中小企業の間では取り組みに大きな格差が存在しており、中小企業からは具体的な実装方法が分からないという声が多く聞かれる現状がある。そこで本事業では、中小企業の経営戦略にSDGsを実装し経営者の意識と行動の変容を促すこと、広報活動により企業のSDGs取組を加速させること、これらの活動から今後の取組方向性をとりまとめることを目的として実施された。
具体的な事業内容として、まずSDGs経営の実装のためのワークショップが開催され、地域の中小企業が経営にSDGsを導入・実装するための具体的な方法を学ぶ機会が提供された。当初4社からの参加申込があったが、コロナ感染や大雪の影響により最終的に2社のみの参加となった。ワークショップでは体験型SDGsカードゲーム『サスマネ』を実施し、SDGsの検討と事業活動の両立について学習し、企業のビジョンや実現したい社会の検討も行われた。参加企業からは、SDGsが自社に関係ないと思っていたが事例を聞いて関係があることを知ったという意見がある一方で、SDGsを利益に結び付ける事例をより多く紹介してほしいという要望も出された。
また、山陰地方においてSDGsを経営に活かす機運醸成を目的としたシンポジウムが開催され、SDGsと経営に関するトレンドについて学ぶ機会が提供された。さらに、フェムテックをテーマとしたセミナーも開催され、女性が働きながら抱える健康問題に対する意識や理解を深めることで、企業や自治体の経営戦略に取り入れるメリットや実際の導入事例の紹介を通じて、誰もが働きやすい労働環境の構築を目指した内容となった。
今後に向けた提言として、SDGsに対する理解醸成が必要な企業に対しては地域別の事例紹介セミナーの開催や経営者ネットワークの形成が効果的であるとされ、SDGs経営を検討したい企業に対してはワークショップ形式での取り組みが有効であることが示された。また、SDGs経営を推進したい企業には個別企業への伴走支援が効果的であり、フェムテックの取組みについても企業全体での取組みや成功モデルの構築、企業間ネットワークの構築が重要であると結論付けられている。
