令和4年度地域経済産業活性化対策調査事業(中国地域におけるモデルベース開発等デジタル技術を活用したバーチャル産業集積可能性調査)報告書
報告書概要
この報告は、中国地域におけるモデルベース開発等デジタル技術を活用したバーチャル産業集積の可能性について調査した報告書である。製造業を取り巻く環境は新型コロナウイルス感染症の拡大や経済安全保障を巡る国際情勢の変化により不確実性が増しており、企業変革力の強化が求められている。特に自動車産業においては、カーボンニュートラルの動向やCASE進展に伴う百年に一度の大変革期が到来し、環境変化への対応が必要となっている。日本の製造業ではMBDやCAEなどデジタル技術を活用するバーチャル・エンジニアリング環境の導入が遅れており、自動車産業でも大手企業による活用にとどまっている課題がある。中国地域は、マツダのMDIによるバーチャル車両開発やひろしまデジタルイノベーションセンターの設置など、MBD等の利活用に向けた環境が進んでいるが、同様に大手企業以外への活用拡大が課題となっている。調査では中国地域五県の自動車関連企業千社を対象としたアンケート調査とヒアリング調査を実施し、MBDやCAEなどの導入・活用状況を調査した。調査結果では、導入企業における主なきっかけとして業務効率化、不具合対策、業務上の必要性、取引先からの要請などが挙げられた。導入における主要課題として、ソフトウェアの習熟、解析結果の評価、予算の確保が特定され、それぞれサポート体制の重視、工学的知見の継続学習、助成金活用による解決策が提示されている。
