令和4年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備事業(デジタル化の進展等がコンテンツ産業構造にもたらした変化に係る調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度におけるデジタル化の進展がコンテンツ産業構造にもたらした変化について調査分析した報告書である。
本調査は、近年のコンテンツ産業における構造変化をグローバルな視点から分析し、日本企業の国際展開の現状と課題を明らかにして効果的な政府施策検討に繋げることを目的として実施された。主要な調査対象はゲーム産業とアニメ産業の2分野であり、それぞれの産業構造の変化と企業戦略について詳細な分析が行われている。
ゲーム産業については、モバイルゲーム領域における開発費高騰により事業規模と事業リスクが大幅に拡大している状況が明らかとなった。グローバル市場では版権・コンソール・PCの事業領域を併せ持つ総合系ゲーム企業の優位性が高まっており、中国・韓国系企業が日本・北米市場で存在感を増している。日本企業は国内市場中心からの脱却が急務であり、海外市場へのフォーカスによる規模の拡大が競争力維持の鍵となっている。政府支援策としては海外展開促進、J-LOD補助金制度の改善、ローカライズ支援の強化などが提言されている。
アニメ産業では、配信市場の成長と中国アニメの台頭を背景に、独立系アニメスタジオの戦い方が大きく変化している。従来の制作受託中心から、版権事業や配信プラットフォームとのパートナーシップを通じたスタジオ主導のビジネスモデルへの転換が求められている。成功するスタジオは放送・配信のマルチ展開、版権事業による安定収入基盤の構築、大規模予算による高品質作品制作を実現している。政府支援としてはオリジナルアニメ制作補助、デジタル作画移行支援、配信プラットフォームとの交渉力強化支援などが必要とされている。
両産業共通の課題として、デジタル化対応、海外市場への展開力強化、人材育成と組織改善が挙げられており、政府は選択と集中による効果的な支援策の実施が求められるとしている。
