令和4年度グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業に関する調査報告書

掲載日: 2024年3月14日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局新規事業創造推進室
委託事業者: 株式会社POTETO Media
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報告書概要

この報告は、経済産業省の委託事業として実施されたグローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業における公共調達に関する調査研究について書かれた報告書である。政府による「新しい資本主義」の実現に向けたスタートアップ支援として、スタートアップ育成5か年計画が策定され、人材・ネットワーク構築、資金供給の強化と出口戦略の多様化、オープンイノベーションの推進という3つの柱で取り組みが進められている現状が示されている。公共調達における主要な課題として、調達情報の認知不足によるマッチング不十分、政府機関や地方自治体の技術目利き機能の不備、入札参加資格要件や手続きの複雑性による参入企業の固定化、企業側の限定的な市場規模への対応困難という4点が挙げられている。これらの課題に対する取り組みとして、調達ポータルサイトやメールマガジンによる情報発信の充実、技術力ある中小・ベンチャー企業のデータベース化、総合評価方式による入札制度の適切な実施、実証実験等を通じた技術調査事業の推進が行われている。J-Startup掲載企業約190社の調査では、2020年以降に公共調達を実施した企業は約80社(42%)であり、分野別では宇宙・航空や製造・素材で実施率が高く、医工・バイオやモビリティで低い傾向が明らかになった。スタートアップが公共調達を実施する目的は、企業存続のための売上獲得、サービス検証のための実証実験、社会的認知獲得によるサービスグロースという3段階に整理される。10自治体へのインタビュー調査により、自治体がスタートアップを認知する方法は、ベンチャーキャピタルや関連団体からの紹介、日常業務での情報交換、デスクリサーチによる調査の3パターンに分類された。スタートアップの採用判断と信用獲得については、ベンチャーキャピタルや審査員による目利き、資金調達状況や成長イメージによる判断、自治体課題との合致度や中長期計画との整合性、業務負荷軽減への貢献度が重要な要素となっている。自治体にとってのメリットとして、新規事業実施による予算化促進、新技術活用による住民サービス向上、企業誘致のきっかけ創出、地域活性化推進、低コストで利便性の高いサービス提供、早期段階での新技術導入が確認された。