令和4年度産業経済研究委託事業 デジタル技術等を活用した育児支援サービス(Baby-Tech等)が少子化等に与える効果と課題に関する調査 調査報告書
報告書概要
この報告は、デジタル技術等を活用した育児支援サービス(Baby-Tech等)が少子化等に与える効果と課題について書かれた報告書である。日本は深刻な少子化に直面しており、出生数の減少が労働力人口の減少や消費の減少を通じて日本経済に甚大な影響を及ぼすことが見込まれている。少子化の原因は未婚化・晩婚化であり、その背景として若年層の経済水準低下や子育てとキャリアの両立不安が挙げられる。こうした状況下で、Baby-Techと呼ばれるデジタル技術を活用した育児支援サービスが創出され始めており、育児しやすい環境整備を促進することが期待されている。本調査では、Baby-Tech等を少子化対策等の政策に活用することを目的として、企業ヒアリング調査とアンケート調査を実施した。Baby-Tech等は妊活と妊娠、安全対策と見守り、健康・毎日のお世話、授乳と食事、保護者支援サービス、家事の効率化、記念・記録・思い出、子どもの学びと遊び、保育ICTの9つの審査部門を5分類に再編して類型化された。これらの活用により、親の育児負担減や育児への肯定感増加、育児と仕事の両立性向上などの効果が期待され、最終的に出生率向上や女性の雇用促進、経済活性化につながるロジックモデルが構築された。調査結果から、Baby-Tech等の普及に向けた課題として、ユーザー側では資金不足、使い方の困難さ、インフラ不足、導入事例情報の不足が挙げられ、サービス提供者側では開発資金不足、利用者の不安や抵抗感、ステークホルダー間連携の困難さ、認知度の低さが指摘された。これらの課題解決に向けて、国・自治体・サービス提供者それぞれの役割に応じた具体的な対応策が提案されている。