令和4年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(ウクライナ諸外国及び国際機関等のウクライナ復興支援に関する実態調査)調査報告書 概要版

掲載日: 2024年3月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 通商政策局欧州課
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報告書概要

この報告は、令和4年度におけるウクライナ、諸外国及び国際機関等のウクライナ復興支援に関する実態調査について書かれた報告書である。ロシアによるウクライナ侵略の長期化に伴い、国際社会では既に貿易投資の再開やインフラ復旧等の経済的復興に向けた動きが出始めており、2022年7月にスイスで開催された「ウクライナ復興会議」では復興に向けた国際的コミットを示すルガーノ宣言が採択され、ウクライナ政府より復興計画が公表された。調査では、ウクライナの復興ニーズとして農業・アグリビジネス、インフラ・建設、IT・デジタル化、エネルギー、自動車及び関連産業の各分野における成長可能性と課題を分析している。国際機関の動向では、世界銀行が累計206億米ドル以上の緊急財政支援を動員し、IMFは管理口座を通じて約28億米ドルの支援を提供している。諸外国の支援では、ドイツのキール世界経済研究所の集計によると主要40国・地域・機関の支援表明額は約1385億ユーロに上り、米国が最大のドナー国で約732億ユーロ、日本は約10億ユーロの支援を表明している。日本企業のウクライナ進出については、2022年1月時点で57社が進出しており、製造業が28社で全体の49%を占める。復興への参入可能性がある分野として、エネルギー、農業、ヘルスケア、建設、鉄道、IT・スタートアップ等が挙げられる一方、ファイナンス・保険面でのリスクテイクの限界、安全面の懸念、物流のボトルネック、不正・汚職等の課題が指摘されている。日本企業が復興に参入する際には、国際機関主導の多国間枠組みへの参画、ウクライナ政府のオンライン調達システムProZorroの活用、ポーランド・ビジネスハーバープログラムの利用、周辺国企業との連携等の機会を活用すべきである。政策提言として、ウクライナの貿易金融機関及び投資促進機関のキャパシティ・ビルディング、国際機関との協調による支援実施、民間企業との連携による技術支援、現地ビジネス展開でのファイナンス面における信用補完、第三国政府・企業との連携促進が挙げられている。