令和4年度原子力産業基盤強化事業委託(原子力機器へのAM 材適用に向けた材料データベース構築)事業報告書

掲載日: 2024年7月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課
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報告書概要

この報告は、原子力機器への付加製造(AM)材適用に向けた材料データベース構築について書かれた令和4年度の事業報告書である。三菱重工業、東芝エネルギーシステムズ、日立GEニュークリア・エナジー、IHIの4社が協力し、3Dプリンタによる付加製造技術を原子力分野に適用するための規格化に必要な材料特性データベースの整備を目的としている。

事業は3段階に分けて実施され、STEP1では検証プロセス方法の妥当性確認として、4社が独立してオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lの試験片を粉末床溶融結合法(PBF法)で製作し、硬さ試験、組織試験、化学分析を実施した。各社で異なる造形装置や条件を用いながらも共通の試験基本仕様に従い、品質のばらつきを評価することで、材料品質が確保された領域を認定するプロセスの検証を行った。

STEP2では規格化に向けた材料データ取得として、物性値データ取得用試験片の製作を実施し、従来規格で要求される固溶化熱処理とHIP処理の2パターンで熱処理を行った。また指向性エネルギー堆積法(DED法)についても1社が試験片を造形し、固溶化熱処理と熱処理なしの2パターンで検討を進めた。

2023年度以降の試験計画では、常温・高温引張試験、疲労試験、応力腐食割れ試験、破壊靭性試験など包括的な材料試験を計画し、最終的にはモックアップ検証までを含む3年間の事業計画を策定した。本事業により、原子力産業界でのAM材適用に向けた技術基盤の確立と新規サプライヤ参入機会の創出が期待される。