令和4年度補正資源自律に向けた資源循環システム強靭化実証事業委託費(ソーティングセンターを核としたプラスチック使用製品廃棄物の水平リサイクルシステム実装可能性調査)報告書

掲載日: 2024年7月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局資源循環経済課
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令和4年度補正資源自律に向けた資源循環システム強靭化実証事業委託費(ソーティングセンターを核としたプラスチック使用製品廃棄物の水平リサイクルシステム実装可能性調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、経済産業省が委託した令和4年度補正資源自律に向けた資源循環システム強靭化実証事業における、ソーティングセンターを核としたプラスチック使用製品廃棄物の水平リサイクルシステム実装可能性調査について書かれた報告書である。

プラスチック資源循環促進法の施行により、地方公共団体によるプラスチック製容器包装とプラスチック製品の一括回収が進む中、現在の再生樹脂は品質低下により用途が限られている現実がある。この課題を解決するため、ポストコンシューマーのプラスチック使用製品廃棄物を一般消費財等に使用可能な品質の再生樹脂に戻す水平リサイクルシステムの構築が不可欠となっている。

本調査では、地方公共団体が一括回収したプラスチック製容器包装とプラスチック製品を対象に、高度な機械選別を行うソーティングセンター、選別後の物質の高度マテリアルリサイクル及び循環型ケミカルリサイクルを組み合わせた水平リサイクルシステムに関する実証実験を実施した。

技術的実験では、プラスチック製容器包装とプラスチック製品の材質レベルでの組成調査を行い、機械選別による選別技術の確認と選別後材料の物性評価を実施した。その結果、試料全体の構成は用途別では容器包装が約8割を占め、材質別ではPP、PS、PETが主要な構成要素であることが判明した。機械選別においては、近赤外線センサー選別機等を用いて一定の選別効果が確認され、選別後のペレットについて物性評価を行った結果、一定の品質基準を満たすことが確認された。

選別リサイクルの実証実験計画の立案では、欧州のソーティング施設及び選別技術の調査を行い、ドイツやノルウェーの事例から日本への適用可能性を検討した。また、リサイクル技術の調査では、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの技術動向を整理し、再生樹脂等の利用・評価に関する調査を通じて、プラスチック製品の各用途における品質基準や水平リサイクル事例を分析した。

水平リサイクルシステムの具体的将来像の検討では、2030年代までの社会実装を念頭に置いたシステムの定義を行い、環境影響の評価方法や施設整備、関連施設の立地配置について予備的検討を実施した。炭素循環量やエネルギー収支の評価手法を検討し、首都圏を中心とした地域的配置の可能性を分析した結果、処理能力5万トン/年規模のソーティングセンターが7~8施設必要となることが判明した。

社会実装に向けた課題として、日本に適したソーティングセンターのあり方、水平リサイクルシステムの後工程における材質別専門工場の事業性確保、石油化学コンビナートとの連携モデル、再生材利用側の基準策定と用途拡大、製造者・利用者側の製品設計改善等が抽出された。また、環境面での評価手法確立の必要性も指摘された。今後の実証実験では、自治体との協力体制構築、容器包装リサイクル推進協会との調整、スケジュール管理が重要な課題となることが示された。