令和4年度補正宇宙開発利用推進研究開発(月面におけるエネルギー関連技術開発(技術課題整理))報告書

掲載日: 2024年7月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局航空機武器宇宙産業課宇宙産業室
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報告書概要

この報告は、月面における水素と電力システムに関する技術課題を整理した報告書である。令和4年度補正予算による宇宙開発利用推進研究開発の一環として実施され、月面でのエネルギー関連技術開発における技術課題の体系的整理を目的としている。

水素関連技術については、月面での水資源探査から推薬プラント設備の検討まで包括的に検討された。月南極域の永久影領域における水氷の存在量や分布状況を詳細に分析し、候補地として2か所を選定した。サーマルマイニング技術による水抽出プロセス、電気分解による水素製造システム、および高圧化システムの構成が検討され、通信制御システムの設計も含まれた。水資源探査においては段階的なアプローチが提案され、各段階での探査装置の組み合わせ案が示された。

電力関連技術では、月面電力供給全体システムの概念設計が行われた。月周辺軌道太陽光発電システム、月面設置発電システム、送電システムの3つの主要要素について詳細に検討された。月周辺軌道発電システムでは大型衛星による太陽光発電と無線送電技術の組み合わせが検討され、送電効率やアンテナ設計、電力増幅器の特性が分析された。月面設置発電システムでは太陽光発電タワーの配置パターンや蓄電システムの検討が行われ、再生型燃料電池とリチウムイオン電池の比較が実施された。

有識者委員会と作業部会を通じて専門家の知見が集約され、水素WGと電力WGに分けて技術的検討が深められた。国内外動向調査では米国のNASAやDARPA、欧州のESA、中国の取り組みが詳細に調査され、日米欧の研究開発状況がベンチマーク分析された。海外現地調査では最新の技術動向と研究開発の方向性が把握された。これらの調査結果を踏まえ、今後の技術開発における課題と方向性が明確化された。