令和4年度 大阪・関西国際博覧会政府開催準備事業(日本館の理解促進と大阪・関西万博の機運醸成等を図る事業)実施報告書
報告書概要
この報告は、2025年大阪・関西万博に向けた日本館の理解促進と機運醸成を図る事業について書かれた報告書である。
令和4年度に経済産業省から有限会社戸田商事が受託した本事業は、万博開催前から日本館のコンセプトを全国に浸透させ、質的に有意義な関係人口の増加を目的としている。事業の中核となったのは、全国5カ所(島根県出雲市、山形県長井市、栃木県宇都宮市、香川県三豊市、奈良県生駒市)で開催された「万博未来編集部ローカルツアー2024 with コミュニティ」である。各地域で地域づくりやSDGsに関心の高いローカルプレイヤーを編集長に選任し、18歳から39歳を対象としてオフライン25名、オンライン25名程度を募集した。
イベントでは、日本館基本構想クリエイターである『ソトコト』編集長・指出一正が各地を訪れ、エリア編集長とのトークセッションと編集会議を実施した。参加者は「つくりたい地域の未来」をテーマとしたグループワークを通じて、2030年以降の地域の未来像を描く「ローカルみらいプラン」を作成し、SDGsの17項目との関連性を検討した。全5回の開催で合計187名の申込があり、39歳以下が40%を占めた。
また、全国の市区町村における持続可能な取り組みの事例収集として、島根県海士町の「URASHIMA VILLAGE」や奈良県生駒市の「トーキョーコーヒー」など5事例を調査した。これらの事例では、地域にプレイヤーが複数出現し、場の設定にあいまいさや余白を残す工夫により持続可能な取り組みが実現されていることが共通して確認された。
機運醸成プロジェクトの自走に向けた提案として、「トーキョーコーヒー」の取り組みを詳細に分析し、対象者を限定せず役割を固定しない「場」の重要性を指摘している。同プロジェクトは2年弱で400カ所の拠点に広がり、地域での自発的な活動を促進している。報告書は、全国のローカルプレイヤーが接点を持てる「井戸端カンファレンス」のような場の提案を行い、複数のプレイヤーがつながることでローカルプロジェクトとして根付いていく仕組みの必要性を強調している。