令和4年度中小企業等に向けた省エネルギー診断拡充事業(家庭等で用いる機器の非化石転換に係る調査)報告書
報告書概要
この報告は、家庭用給湯器の非化石エネルギー転換による影響分析と制度検討について書かれた報告書である。
2050年カーボンニュートラル実現に向けた家庭部門のCO2排出削減が重要であり、特に給湯が約3割、暖房が約2割を占める熱需要に着目した政策検討が進められている。2020年度における給湯器の機器種類別シェアでは、ガス給湯器が最も多くを占めており、石油給湯器やヒートポンプ給湯機も一定の市場を形成している。各機器の普及状況は地域や世帯人数によって異なり、寒冷地では石油給湯器、温暖地ではガス給湯器の普及率が高い傾向を示している。
エネルギー消費量の分析では、機器種類別の化石エネルギー消費量を世帯人数と地域別に試算し、現状のエネルギー構成における課題を明確にした。給湯器業界の市場構造では、リンナイ、ノーリツ、パロマ、コロナなどの主要メーカーが脱炭素化に向けた取組方針を掲げており、各社が2050年に向けた具体的なロードマップを策定している。
非化石転換による影響分析として、消費者に対してはエネルギーコスト削減効果があることが示された。製造事業者への影響では、非化石転換により給湯器市場全体の販売台数や売上高の変化が予測される。社会全体への影響では、エネルギー輸入コストの削減効果が期待される。
制度の在り方検討では、メーカーに対する目標基準値の設定を含む制度案が検討された。機器転換を妨げる要因として、取引先のラインナップ依存、経済性の課題、設置スペースの制約、知識・意識の不足が特定された。これらに対する施策案として、基準設定・規制導入、経済措置、容積率緩和、情報提供、教育などが提案されている。省エネルギー小委員会での審議に向けて、関連業界団体との意見交換資料も整理されている。