令和4年度2次補正特定生活関連サービスインバウンド需要創出促進・基盤強化事業委託費報告書
報告書概要
この報告は、新型コロナウイルス感染症により深刻な打撃を受けたブライダル産業におけるインバウンド需要創出促進と基盤強化事業について書かれた報告書である。
新型コロナウイルス感染症の流行により、人流抑制や入国制限が実施され、対面サービスが主流であったブライダル産業は収益減少と経営困難に直面した。さらに、日本の人口減少と少子化進行により、2053年には総人口が1億人を割る見込みであり、2021年の出生数は過去最少の約81万人を記録している。こうした国内事業環境の変化を受け、海外からの新たな需要創出が重要となっている。
本事業では、官民一体となったインバウンド需要獲得の取組として、台湾・香港でのウエディングフェア出展、国際商談会参加、現地メディアを活用したプロモーション活動を実施した。台湾の2023ウエディング博覧会では589組のカップルが来場し、うち79組がブースを訪問した。香港のThe 112th Hong Kong Wedding Fairでは、日本ならではの和装展示がアイキャッチとなり、特にウエディングフォトサービスへの関心が高かった。また、VISIT JAPANトラベル&MICEマート2023では、海外旅行会社との商談機会を創出した。
調査結果から、国ごとにウエディングイベントのニーズは異なるものの、訪日ウエディングには一定の需要があることが判明した。効果的な広報には日本らしさが一目でわかる写真や動画の活用が重要である一方、費用面や人材面での制約により、個別事業者による継続的な海外展開には限界があることも明らかになった。インバウンド需要拡大の課題として、国内事業者の受入態勢整備、アジア諸国における費用面での懸念、多様なニーズに対応した商品・プラン造成の必要性が挙げられている。
併せて実施された結婚式の社会的影響調査では、結婚式や二次会への参列が消費者の意識や行動変化に与える影響を分析した。その結果、「大切な誰かと生きていくことは素敵なこと」「パートナーを大事にしたい気持ちの高まり」「結婚への意欲向上」などの意識変化が確認され、恋活・婚活行動の促進効果も示唆された。これらの知見は、ブライダル産業の価値創造と新たなサービス展開の可能性を示している。
