令和6年度中小企業取引対策事業(企業間取引に関する研究分析等調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、中小企業庁の委託による企業間取引に関する研究分析調査について書かれた報告書である。下請代金支払遅延等防止法の執行を通じた取引条件改善のため、今後の政策立案の参考資料として下請法対象となる親事業者・下請事業者の取引実態を定量的に調査・分析したものである。株式会社帝国データバンクが企業概要ファイルと信用調査報告書を活用し、直近3年間の取引関係データを基に分析を実施した。
調査は資本金区分ごとの取引数および構成比率と従業員数区分ごとの取引数および構成比率の2つの項目について行われた。資本金区分調査では412万件超のデータを、従業員数区分調査では147万件のデータをそれぞれ分析対象とした。下請法の業種分類と日本標準産業分類を対応させ、製造委託、役務提供委託、情報成果物作成委託の各分野について詳細な分析を行った。
製造業における取引では、従業員数300人以下の企業が発注側・受注側ともに高い割合を占めており、運輸業・郵便業では発注側の大企業から受注側の中小企業への取引が多く見られる。情報処理サービス業では従業員数100人以下の企業間取引が中心となっている。また、資本金3億円以下かつ従業員数300人超の製造業等企業数は2,684事業者で全事業者の0.34%、資本金1億円以下かつ従業員数100人超の卸売業企業数は2,473事業者で1.50%、資本金5千万円以下かつ従業員数100人超のサービス業企業数は7,294事業者で2.03%となっている。これらの分析結果は下請取引における取引条件改善と中小企業の賃上げ環境整備に向けた政策検討の基礎資料として活用される。
