令和6年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(グローバル競争力強化に向けたコーポレート・トランスフォーメーションの深堀及び普及促進に関する調査)報告書

掲載日: 2025年4月24日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局製造産業戦略企画室
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令和6年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(グローバル競争力強化に向けたコーポレート・トランスフォーメーションの深堀及び普及促進に関する調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、コーポレート・トランスフォーメーションにおけるファイナンス機能の高度化について書かれた報告書である。経済産業省の委託により、PwCコンサルティング合同会社が実施した調査研究の成果をまとめたものとなっている。

本調査では、グローバル競争力強化の観点からファイナンス機能を「カネの使い途を正しく定める」機能として位置づけ、その方法論を体系的に整理している。従来の統制中心のファイナンス業務から、ビジネスパートナーとしての価値創造機能への転換が求められており、過去の実績報告から未来予測に基づく経営意思決定への貢献が重要な課題として認識されている。

リファレンスモデルでは、ファイナンス機能の成熟度を5段階に分類し、中長期トレンドの分析から全社戦略・予算策定、実行計画策定、計数集計・管理まで各領域における具体的な発展段階を示している。特に、マクロ環境情報、市場情報、内部情報の収集・分析能力の向上と、これらの情報を活用した戦略的意思決定の実現が重要な要素として整理されている。

富士通における実践事例では、FP&A導入プロセスが詳細に紹介されており、「5位一体」の変革コンセプトのもと、ルール・プロセス、データ、組織、システム、人材の統合的な改革が実施された。非効率な会計オペレーションの解消、グローバル標準ITインフラの導入、変革意識の向上、デジタルツール活用の推進が主要な施策として実行されている。同社では専任チームを組成してスピード感のある変革を推進し、データ統合と利活用による高精度AI予測の導入、ファイナンス人材の育成、事業部門へのファイナンス専門人材派遣などの成果を上げている。経営層からは売上や損益リスクの可視化、現場の作業からの解放について高い評価が得られており、好循環での変革推進が実現されている状況である。