令和6年度エネルギー需給構造高度化基準認証推進事業(ルール形成戦略に係る調査研究(グリーンケミカル製品の定義と環境価値訴求戦略に係る調査))報告書
報告書概要
この報告は、日本の化学工業におけるグリーンケミカル製品の定義と環境価値訴求戦略について調査研究した報告書である。日本の石油化学産業は従来、コスト競争力の高い化学製品を安定供給することで産業競争力を支えてきたが、2050年炭素中立の目標達成に向けて、従来の省エネ対策だけではなく原材料転換等のより抜本的な脱炭素化対策が求められている状況である。本調査は、化学産業の脱炭素化対策によって生産される製品の価値を見える化し、従来製品との差別化を図るためのグリーンケミカル製品の定義と付加価値創出方向性を検討することを目的として実施された。石油化学工業協会の分類によると、グリーンケミカル製品を創出するプロセス改善の方向性として、リサイクル、バイオ原料、CCUS、グリーン燃料・再生可能エネルギー、環境負荷低減素材の5つの方策が整理されている。調査では各方策の導入事例や背景を詳細に分析し、特にリサイクルではマテリアルリサイクルとケミカルリサイクル、バイオマスではバイオナフサやバイオエタノール、CCUではCO2原料化技術等について具体的な取組状況を調査した。また、マスバランス方式を用いたバイオ原料利用についても詳細な検討を行った。グリーンケミカルのGHG排出削減効果の定量化については、現行のCFP評価では廃プラスチック焼却回避やバージン材消費回避等の効果が適切に評価できない課題があることが明らかとなった。今後の方向性として、評価方法整備、マスバランス方式のガイドライン整備、GHG以外の環境負荷評価、インベントリデータベース整備等のアクションが必要であるとされた。標準化により創造・拡大できる市場規模は、リサイクルで1410億円、バイオマスで470億円、CCUで最大470億円、合計で1880~2350億円と評価されている。