令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(APEC域内における、コロナ禍からの経済回復のための都市間の経済・貿易に関する施策に係る調査事業)調査報告書

掲載日: 2021年10月27日
委託元: 経済産業省
担当課室: 通商政策局アジア太平洋地域協力推進室
委託事業者: 株式会社ハローG
タグ: 見本市
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令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(APEC域内における、コロナ禍からの経済回復のための都市間の経済・貿易に関する施策に係る調査事業)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告書は、APEC域内におけるコロナ禍からの経済回復のための都市間経済・貿易施策に関する調査について書かれた報告書である。本調査は、デジタル技術を活用した経済・貿易分野の連携事例のベストプラクティスを収集することを目的とし、令和3年7月から8月にかけて実施された。調査では国内100程度、海外30程度の事例として、オンライン見本市、AI活用商談会、中小企業の海外事業拡大支援、共同観光プロモーションなどの取り組み事例を収集し、特徴的な国内事例10程度についてヒアリング調査を行った。

調査結果では、コロナ禍においてオンライン化が進展しており、ビジネスセミナーやマルチ会議で活用されている。商談会では、オンラインで伝達できる情報の制約がある中、試食会との組み合わせで効果を上げている事例が確認された。オンライン展示会においては、映像やVRなどの視聴覚技術活用が進んでいるが、完全なVR展示会では訴求力が弱く、来訪者を引き付けるコンテンツ作成が重要となっている。ハイブリッド展示会では、集客や商談がリアル出展者に偏るなど、オンライン参加の課題が多数存在する。

技術別の普及度合いでは、オンライン化は自治体間取り組みで一般化しているものの、ビジネス用途では臨場感や秘匿性の課題がある。視聴覚技術は観光や商談会のプロモーションで一定の効果があるが、VRは十分に活用されていない。データ活用については、ビッグデータやAI活用事例が少なく、AIビジネスマッチングは精度が低いため、オペレーター介在が必要である。

業種別分析では、オンラインでの効果が高い分野として観光、建築、工場設備などが挙げられ、効果が得にくい分野として食品・飲料、民芸品、機械部品などが特定された。市場条件では、所得水準が高く日本商品の人気が高い地域での成功要因が確認された。現地ネットワークの存在も最終契約に向けて重要な要素となっており、中小企業でも越境ECを活用した海外取引成功事例が報告されている。

調査では、オンライン技術のメリットとして低コスト、手軽な参加、集客効果の向上が確認された一方、デメリットとして機密保持の困難さ、情報伝達の制約、成約率の低下などが明らかになった。効果的な活用には、映像コンテンツやライブ配信による臨場感の補完、SNSを活用した事前告知や事後フォロー、適切な商談ステージでの複数イベント組み合わせが重要である。コロナ終息後も完全なリアル回帰ではなく、オンラインの利点を活かしたハイブリッドイベントの継続が予想されると結論付けている。