令和3年度中小企業実態調査事業(航空機産業の他産業展開可能性調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、新型コロナウイルスの影響を受けた航空機産業の中小サプライヤーが他産業への展開可能性について調査を行った報告書である。新型コロナの世界的な感染拡大により航空機産業の旅客需要が激減し、特に航空機関連事業に特化した中小サプライヤーが深刻な影響を受けている状況を踏まえ、航空機産業で培った技術やスキルを活用した他産業への展開可能性を検証することを目的として実施された。調査では、航空機産業と親和性の高い他産業のメーカー6社に対するヒアリング調査を実施し、サプライヤーに対するニーズや要求事項を把握するとともに、商社2社からも他産業展開に関する助言を得た。また、エアロマート名古屋2021を活用したビジネスマッチング支援として、バイヤー企業説明会や業界動向セミナーの開催、効果的なニーズ・シーズシートの作成と提供を行い、航空機サプライヤーと他産業バイヤーとの商談設定を支援した。調査の結果、航空機サプライヤーにとっての課題として、他産業の商慣行やニーズの把握不足、品質保証体制の違い、営業力の不足などが明らかとなった。一方で、航空機産業で培った高度な技術力や品質管理能力は他産業においても評価される強みであることが確認された。今後のビジネスマッチング施策として、航空機サプライヤーに対する他産業の商慣行やニーズに関する情報提供の充実、段階的な参入支援、継続的なフォローアップ体制の構築が重要であると提言されている。