令和3年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(太陽電池発電所および洋上風力発電所における環境影響評価についての調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度に経済産業省が実施した太陽電池発電所および洋上風力発電所における環境影響評価についての調査報告書である。太陽電池発電所については、環境影響評価法の対象事業となったことを受け、アセス特有の項目について改善の要否を検討し、国内外の事例や知見を蓄積して「発電所に係る環境影響評価の手引」の具体化案および技術的参考資料案を作成した。具体的には、土地の安定性、反射光、騒音、生態系の4つの項目について詳細な検討を行った。土地の安定性については、斜面安定解析の妥当性や予測評価条件の検討、水象への影響を考慮した追加調査手法の検討を実施した。反射光については、予測手法、影響範囲、評価手法について文献調査とアセス図書の事例整理を行い、技術的参考資料案を作成した。騒音については、パワーコンディショナから発生する純音性成分に着目し、国内外の文献調査、業界団体へのヒアリング調査を実施し、審査時の留意事項を整理した。生態系については、残置森林などの環境保全措置の妥当性を判断する観点について検討した。洋上風力発電所については、海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進法の施行により今後の審査増加が見込まれることから、海外の洋上風力アセス事例を調査し、発電所アセスの手引に具体化されていない項目について整理を行った。水中騒音、海景、海底地形、海岸線などの項目について、手引の具体化の必要性を検討し、調査・予測手法等について具体化案を作成した。これらの検討結果については、太陽電池発電所と洋上風力発電所それぞれについて有識者委員会を設置し、各2回開催して専門的な見地から審議を行った。本調査により、再生可能エネルギー発電設備の環境影響評価における審査手法の確立と高度化に向けた基礎的な知見と具体的な指針案が整備された。