令和3年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託費(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)タイ国・リモートメンテナンス事業実施可能性調査事業報告書
報告書概要
この報告書は、タイ国におけるリモートメンテナンス事業の実施可能性について調査した報告書である。
日本の石油・化学プラント等では設備老朽化や熟練作業者の技能伝承問題が深刻化しており、AI/IoTを活用したスマート保安技術の導入が注目されている。特に1990年から2000年代に設置されたプラント設備の老朽化が進むタイ国では、保安人材不足が重要な課題となっており、日本の熟練技術者による遠隔監視技術支援が有効な解決策となり得る。
リモートメンテナンス事業では、運転状態監視と劣化予測、点検作業のデジタル化、非開放点検のセンシング化、作業品質保証の見える化など18項目の支援メニューが検討された。また、GEのIndustrial Internet、コマツのKOMTRAX等の成功事例分析により、現場メリットから経営メリットまでを包含したプラットフォーム戦略の重要性が明らかとなった。
事業実施計画では、2022年度から2026年度にかけて段階的な展開を予定している。まず日本企業連携による技術のバンドリングを行い、タイ国中堅中規模企業への認知向上とデジタル人材育成を実施する。さらに法令順守レポーティングとの連携、BCG/グリーン技術との統合により、ESG投資面でのメリット創出を図る計画である。
ASEAN諸国への横展開については、GDP規模、製造業比率、労働災害件数等の比較分析を実施した結果、インドネシアが最も有望な展開先として特定された。同国は製造業GDPが2,262億ドルと最大規模であり、経済産業省との間でスマート保安に関する協力覚書も締結済みである。
