令和3年度中小企業実態調査委託費 小規模事業者の経営環境変化に伴う地域での連携や課題解決への取り組みに関する調査研究調査報告書
報告書概要
この報告は、新型コロナウイルス感染症が小規模事業者に与えた影響と、地域での連携や課題解決への取り組みについて書かれた報告書である。令和3年度中小企業実態調査の一環として実施され、小規模事業者の経営環境変化への対応策を調査・分析している。
新型コロナウイルス感染症の影響により、日本の実質GDPは2020年4-6月期に年率換算前期比マイナス28.2%まで下落し、リーマンショック時を大きく上回る深刻な経済収縮が発生した。消費者態度指数は2020年4月に21.3まで低下し、過去に類を見ない消費マインドの悪化を記録した。産業別では、小売業において織物・衣服・身の回り品小売業が最も大きな打撃を受け、2020年4月には前年同月比45.9%まで売上が減少した。一方で、外出自粛に伴うオンラインショッピングの普及により無店舗小売業は好調を維持した。
サービス業では宿泊業、飲食店、生活関連サービス業・娯楽業への影響が特に深刻で、宿泊業は2020年5月に前年同月比19.0%まで売上が激減した。これらの業種は感染状況の変化に応じて回復と悪化を繰り返し、2021年12月時点でも完全な回復には至っていない状況が続いている。
調査では小規模事業者と認定経営革新等支援機関を対象としたアンケートを実施し、経営課題の把握や解決に向けた取り組み状況を詳細に分析している。支援機関の視点から見た小規模事業者の課題として、自社の外部環境や内部環境の把握・整理が不十分であること、経営課題の優先順位付けができていないこと、課題解決に向けた具体的な施策の検討が不足していることが明らかになった。
地域課題解決に向けた連携については、産業振興やまちづくり、環境保護、安全・安心、教育・福祉などの分野で取り組みが必要とされている。しかし、小規模事業者が連携を始める際の障壁として、適切な連携先を見つけることの困難さ、連携方法の不明確さ、人手不足などが指摘されている。支援機関からは、事業者の連携目的が明確でないことや、助言後の具体的な行動に繋がらないことが課題として挙げられている。
