令和3年度中小企業実態調査委託費(諸外国等における政策立案のためのデータ利活用実態等に係る委託調査事業)調査報告書

掲載日: 2022年4月21日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁事業環境部企画課調査室
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令和3年度中小企業実態調査委託費(諸外国等における政策立案のためのデータ利活用実態等に係る委託調査事業)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和3年度に経済産業省中小企業庁が委託したデータ利活用実態調査について書かれた報告書である。新型コロナウイルス感染症の流行により、中小企業及び小規模事業者の多くが業績悪化や資金繰り悪化といった困難に直面している状況下で、従来の政府統計データだけでは迅速かつ詳細な分析に限界があることから、オルタナティブデータや行政記録情報等の活用による機動的な政策立案の必要性が高まっている。

本調査では、米国、英国、ドイツ、カナダ、シンガポール、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの9カ国とEUを対象として、オルタナティブデータや行政記録情報の活用状況を調査した。調査項目は5つに分かれており、感染症に係る事業者向け支援策における行政記録情報の活用方法、企業や個人事業主の経済活動把握のためのオルタナティブデータ活用状況、政府統計の改善事例、産業政策の効果検証における公的統計や行政記録情報の活用方法、そして行政記録情報のオープンデータ化の仕組みについて詳細に分析された。

諸外国の事例調査により、各国は既存の税務データや雇用データといった行政記録情報を効果的に活用することで、支援策の迅速な実施と申請者負担の軽減を実現していることが判明した。特に韓国では、政府が企業データベースを活用して受給資格を満たす企業を特定し、プロアクティブに補助金情報を案内する仕組みを構築している。また、国内においても民間事業者が提供するオルタナティブデータの現状を調査し、有用性が高いと考えられるデータを選定して実際に購入・分析を行い、その活用可能性について検討を実施した。行政記録情報等の活用については、中小企業政策の効果検証の重要性が高い2件の政策を選定し、活用可能性のある行政記録情報等を把握して効果検証のリサーチデザインを検討した。

本調査の結果、諸外国における先進的な取組から得られた知見と、国内の民間データや行政記録情報の活用可能性を踏まえ、次年度以降の具体的な対応案が提示されている。これらの調査結果は、我が国の中小企業政策立案における機動性向上とエビデンスベースの政策形成の実現に向けた重要な基盤となることが期待される。