令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(貿易分野デジタル化の在り方等に係る調査)報告書 概要版(英語)
報告書概要
この報告書は、経済産業省が実施した令和3年度国際経済研究事業における貿易分野のデジタル化に関する研究報告書である。グローバルな貿易プラットフォームの普及が進む中、各プラットフォーム間の連携不足により企業の導入コストが増大している現状を受け、官民連携による貿易デジタル化の推進が急務となっている背景を示している。
COVID-19によるコンテナ不足や港湾混雑、気候変動による自然災害の頻発により国際物流が混乱する中、経済安全保障の強化や環境・人権への関心の高まりから、新たな輸出入規制が各国で急速に適用されている。これにより貿易取引で必要な情報は調達から廃棄まで全サプライチェーンに拡大し、情報収集・提示の負担増加が懸念されている。
研究では貿易デジタル化の目標として、貿易手続きの省力化・迅速化、貿易関連リスクの予測可能性向上による取引拡大、貿易を取り巻く新たな社会ニーズへの対応の3つを設定した。理想的な状態として、標準仕様やデータガバナンス等の貿易デジタル化連携ツールを活用し、企業が最小限のプラットフォーム利用で全取引先システムと連携できる環境の実現を提示している。
実現に向けた取組として、電子文書の法的有効性に関する法制度整備、データ標準仕様の管理・推進体制構築、貿易分野におけるデータの分野横断的利用環境整備、データ標準仕様実装支援策開発、新たなデータ標準仕様開発、データガバナンスの法制度整備の7つの施策を提案している。短期目標として2-3年での貿易分野全情報のデジタル化、中期目標として4-6年での分野横断的情報利用環境整備を設定し、これらの達成により文書処理時間の短縮、自動化による省力化、国際競争力強化等の効果が期待される。
