令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(貿易分野デジタル化の在り方等に係る調査)報告書 概要版(日本語)

掲載日: 2022年4月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局通商金融課
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報告書概要

この報告は、日本の貿易分野におけるデジタル化の推進に向けた包括的な戦略とアクションプランについて書かれた報告書である。経済産業省の委託による令和3年度調査として、三菱総合研究所が実施した貿易分野デジタル化の在り方に関する調査結果をまとめている。

報告書では、貿易分野デジタル化の背景として、世界中で複数の貿易プラットフォームが独自の仕様で運用されており、相互連携が図られていないことによる利用者の負担増加を指摘している。また、コロナ禍による国際物流の混乱や、経済安全保障強化、環境・人権等への配慮といった新たな社会ニーズの高まりにより、貿易取引で必要とされる情報の範囲が大幅に拡大していることを課題として挙げている。

デジタル化の目的として、第一に貿易手続きの省力化・迅速化を掲げ、情報の効率的な収集・伝達と事務処理の自動化による省力化を目指している。第二に貿易に伴うリスクの予見性向上による貿易取引の維持・拡大を図り、サプライチェーンリスクの回避を実現することを目標としている。第三に貿易取引を取り巻く新たな社会ニーズへの対応として、経済安全保障や環境・人権等の共通価値に関する情報を効率的に収集・提示するしくみの構築を提唱している。

目指すべき姿として、現在の各プラットフォームが独自仕様で運用されている状況から、共通的な連携ツールを用いて相互連携性を向上させることを構想している。競争領域と協調領域を明確に分け、データ連携に関する標準仕様や共通ルールを協調領域として共通化を推進する方針を示している。中核的な取組として、データモデルを一元管理する「データモデルレジストリ」と、API等を提供する「データ利用レジストリ」の構築を提案し、国際標準や業界標準の仕様を収録して実装の利便性向上を図ることを目指している。

実現に向けた具体的施策として、短期目標である「貿易分野におけるすべての情報のデジタル化」と中期目標である「分野横断での情報の利活用環境の整備」を設定している。電子文書の法的効力に関する法制度改正、データ標準仕様の管理・普及推進体制の構築、横断的な利用環境の整備、実装支援施策の展開、新たなデータ標準仕様の開発、データガバナンスに係る法制度整備の7つの施策を提示している。これらの取組により、書類の電子化、構造化データの交換、ネットワーク効果の創出、データ流通の促進といった効果を期待し、最終的に貿易手続きの大幅な効率化と国際競争力の強化を実現することを目標としている。