令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(貿易分野デジタル化の在り方等に係る調査)報告書詳細版
報告書概要
この報告は、貿易分野デジタル化の在り方について書かれた報告書である。近年のデジタル技術の進展により、貿易分野においても1980年頃から国際的な手続きの簡素化や調和化が取り組まれてきたが、2010年代後半以降、特に民間同士の情報交換において長年課題とされてきた非効率で複雑な紙作業・事務プロセスをデジタル化・一元化する動きが活発となった。世界中で貿易デジタルプラットフォームが複数形成され、我が国でも港湾の電子化(サイバーポート)や通関業務の電子化による利便性向上が進められている。しかし、それぞれが推進する貿易分野のデジタル化は、対象プロセス、取引対象、参加プレーヤー、地域等が様々であり、現時点で貿易取引全体の合理性についての議論がなされていない。このような状況を踏まえ、経済産業省では文献調査及びヒアリング調査を行った上で「貿易分野デジタル化の在り方研究会」を設置し、官民連携で貿易分野デジタル化の実現に向けた取り組みについて検討した。研究会では、貿易分野における現状の課題や技術および法制度等を含む国際的な動向を踏まえ、貿易分野の将来像やデジタル化を推進するための要点を検討・整理し、短期目標として「貿易分野におけるすべての情報のデジタル化」、中期目標として「分野横断での情報の利活用環境の整備」を設定した。これらの目標に向けて、官民が協力して取り組むべき事項として「データ標準仕様の管理・普及推進体制の構築」や「データ標準仕様の利用環境の整備」等を取りまとめ、今後の官民における貿易分野デジタル化推進のための短中期的な道標として報告書を作成している。