令和3年度中小企業再生支援・事業承継総合支援事業 企業健康診断等のあり方に関する委託調査 報告書
報告書概要
この報告は、中小企業の企業価値評価と事業承継診断のあり方について書かれた報告書である。中小企業庁の委託により、中小企業が自社の企業価値を簡易に評価できるツールの提供と、企業価値の維持・向上を意識した経営を促す「企業健康診断」の検討を目的として実施された調査である。中小M&Aにおける課題として中小企業の経験・人材不足や事業承継準備の先送りが明らかになっており、これらに対応するため企業価値評価手法の整理と簡易評価ツールの試行活用が行われた。企業価値評価手法はインカム・アプローチ、マーケット・アプローチ、コスト・アプローチの三つに分類され、DCF法や類似会社比較法などの具体的手法の特徴と適用場面が整理されている。事業承継診断については、現行の取組状況を把握し課題を特定するとともに、企業健康診断への発展的見直しが検討された。企業健康診断では、財務情報から経営分析と企業価値評価を組み合わせた定期的診断により、中小企業経営者に気付きを与え行動を促す仕組みが提案されている。類似企業の事業承継・M&A成約事例の情報提示も効果的であると考えられている。調査結果は中小企業M&Aを円滑かつ安心して実施できる環境整備の一助となることが期待されている。
