令和3年度産業経済研究委託事業カーボンニュートラルを踏まえた我が国金属産業の持続的発展に向けた調査事業報告書

掲載日: 2022年4月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局金属課金属技術室
委託事業者: 日鉄総研株式会社
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令和3年度産業経済研究委託事業カーボンニュートラルを踏まえた我が国金属産業の持続的発展に向けた調査事業報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、カーボンニュートラルを踏まえた我が国金属産業の持続的発展について書かれた報告書である。CO2排出削減の観点から、従来の高炉転炉法に代わってスクラップ電炉法による高級鋼製造への転換が求められているが、電炉法には技術的課題が存在する。主な課題として、スクラップ中に含まれる銅や錫などのトランプエレメントが除去困難であり、これらが鋼材の品質に悪影響を与えることが挙げられる。また、電炉製鋼では窒素濃度が高くなりやすく、鋼材特性の劣化を招く問題もある。スクラップ需給については、2030年には国内発生量が需要を上回る見込みであるが、高級鋼製造に適した高品位スクラップの確保が課題となる。中国のスクラップ需給動向も重要で、同国は電炉化推進により高品位スクラップの輸入を拡大する可能性があり、アジア市場に影響を与える。技術的解決策として、スクラップの分別・加工技術の向上、トランプエレメント除去技術の開発、直接還元鉄の活用などが検討されている。政策提言では、理論研究への支援強化、スクラップ加工能力増強への補助、解体・回収規制の強化が必要とされている。将来の課題として、還元鉄活用技術の調査、スクラップ品位向上の実証実験、JIS規格におけるトランプエレメント基準の導入検討、発生源別スクラップ流通実態の把握などが挙げられている。