令和3年度規制改革推進のための国際連携事業(AIの利活用及び開発に影響を与える政策ツールに関する動向調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、GPAI(Global Partnership on AI)に関する動向調査について書かれた報告書である。GPAIは2020年6月に設立された「人間中心」の考えに基づく責任あるAIの開発と使用を実現するための官民多国間組織であり、日本を含む25カ国・地域が参加している。組織は4つのワーキンググループ(責任あるAI、データガバナンス、仕事の未来、イノベーションと商業化)と1つのサブグループ(AIとパンデミック対応)から構成され、それぞれが具体的なプロジェクトを推進している。
本調査では専門家をGPAIに派遣し、各ワーキンググループの動向を収集した結果、責任あるAI分野では環境対策とソーシャルメディアガバナンスに焦点を当てたロードマップやガイドラインが作成され、AIとパンデミック対応では創薬開発の推奨事項とAIイニシアティブのリポジトリが整備された。データガバナンス分野では社会的利益のためのデータ共有フレームワークとデータ正義に関するガイダンスが策定され、仕事の未来では職場でのAIオブザベイトリー開発と公平な仕事のためのAI原則が検討された。イノベーションと商業化では中小企業のAI導入支援ポータルとIP Primerが作成されている。
また国内周知を目的としたシンポジウムを開催し、GPAI委員やAI原則実践の専門家が登壇して合計420名の参加を得た。参加者アンケートでは、GPAI活動への理解度向上とAI原則実践への理解促進が確認され、企業内AIガバナンスの取組み状況についても調査が行われた。調査結果からAIガバナンスの進展には外部ステークホルダーとの対話や専門的ノウハウの習得が重要な課題として浮き彫りになり、国際的な議論への対応と実践的活動の重要性が示された。
