令和3年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(百貨店及び取引先等の物流に係る課題等調査)調査報告書

掲載日: 2022年5月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ消費・流通政策課
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令和3年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(百貨店及び取引先等の物流に係る課題等調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、経済産業省が実施した百貨店及び取引先等の物流に係る課題等調査について書かれた報告書である。

日本の百貨店における物流システムは、百貨店特有の商慣習や取り扱い商品の多様性により、複数のEDIサービスが併存するなど極めて複雑化している。少子高齢化と人口減少による人手不足が小売業界全体に影響を与える中、物流構築が遅れている百貨店業界の構造的問題を把握し、実現可能な課題解決の方向性を抽出することが本調査の目的である。

調査は二つの柱で実施された。第一に、百貨店、取引先事業者、システムベンダー等による10名のワーキンググループを計4回開催し、先進事例との比較により業界の物流課題を抽出した。第二に、海外百貨店の物流実態調査、国内百貨店へのヒアリング調査、百貨店とアパレルメーカー向けアンケート調査、そしてOMO化に関する物流形態の調査を実施した。

フィジカルインターネット実現に向けた2030年度までのアクションプランが策定され、リサイクルの普及拡大については実証実験結果の公表とアパレルメーカー、百貨店、物流会社による三者コミットメントの明文化が提案されている。今後のフォローアップとして、日本百貨店協会と日本アパレル・ファッション産業協会による賛同宣言と進捗モニタリング、関係業界団体への趣旨説明と賛同依頼、アクションプラン実行促進の仕組み検討が計画されている。

報告書は、フィジカルインターネットの実現が物流効率化だけでなく、百貨店のオムニチャネル・リテイリング実現の基盤となることを強調している。商品マスタ共有、AIを活用したおもてなしノウハウの展開、バーチャル消化仕入取引のデジタル化、そして円滑な配送システムが重要な要素として位置づけられ、これらの実現により百貨店業界のさらなる飛躍が期待されると結論づけている。