令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(APEC域内における、コロナ禍からの経済回復のための都市間の経済・貿易に関する施策に係る追加調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、APEC域内におけるコロナ禍からの経済回復のための都市間の経済・貿易に関する施策について書かれた報告書である。新型コロナウイルス感染症の流行により、従来の対面式見本市や商談会などの国際的な経済・貿易連携事業が停滞を余儀なくされる中、APEC加盟エコノミーや域内都市の行政機関がデジタル技術を活用した新たな連携手法を模索している状況を調査したものである。本調査では、前半調査に続き、APECエコノミーレベルの事例や前半調査で重点都市に含まれなかった域内都市での事例に対象を拡大し、幅広く事例収集を実施した。文献調査を通じて、エコノミーレベルの先進的取組事例約120件と都市間連携事例約50件を収集し、会議イベント事例とその他連携支援事例に分類して分析を行った。会議イベント事例には見本市、展示会、貿易使節団、商談会、ネットワーキングイベント、セミナー、ピッチイベント、その他会議が含まれ、その他連携支援事例にはデジタル技術開発、ビジネスマッチング、eマーケットプレイス、マーケティング、マーケットインテリジェンス、人材育成、企業誘致、その他支援事業が含まれている。導入されたデジタル技術としては、ハイブリッドイベントプラットフォーム、オンラインイベントプラットフォーム、オンラインミーティングツール、eマーケットプレイス、ビジネスマッチングツール、レジストリー、AI、ビッグデータ、3D、VR、ビデオ、ライブストリーミングなどが確認された。これらの事例から10事例を選定して深堀調査を実施し、公開文献およびヒアリング調査に基づいてベストプラクティスを取りまとめた結果、グッドプラクティスの例として、参加企業への十分な準備支援、潜在顧客情報の提供、エンゲージメント向上のための工夫、先端技術活用などが重要であることが判明した。さらに、収集・分析した事例およびベストプラクティスについて、APECエコノミーの政府関係者と共有するオンラインワークショップを開催し、コロナ禍からの経済回復に向けた日本の地方都市と海外都市との新たな連携促進のための政策立案に資する情報提供を目指した。
