令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(APEC域内における、コロナ禍からの経済回復のための都市間の経済・貿易に関する施策に係る追加調査事業)ワークショップ報告書
報告書概要
この報告は、APEC域内におけるコロナ禍からの経済回復のための都市間の経済・貿易に関する施策について調査した報告書である。従来、APEC域内では対面式の見本市や商談会、観光プロモーション等による都市間の経済・貿易連携が行われていたが、コロナ禍により停滞を余儀なくされた。その中で大規模なオンライン見本市やAIを活用した商談会・ビジネスマッチング等、デジタル技術を活用した新たな連携形態が生まれている。2022年3月4日に開催されたワークショップでは、貿易促進事業でのデジタル技術活用におけるベストプラクティスの共有・議論を目的とし、経済産業省による調査結果発表、シンクタンクや国際機関専門家による講演、日本・台湾・タイの貿易促進機関代表者によるパネルセッションが実施された。調査では19のエコノミーから300以上の事例を特定し、オンラインミーティングプラットフォームや3D・VR技術を活用した大規模イベント開催、ビジネスマッチングや電子商取引への能力開発支援などの対策が分析された。グッドプラクティスとして、企業の十分なプレゼンテーション準備と顧客情報提供の重要性、先端技術によるバイヤーエンゲージメント向上、正確なデータ収集の必要性が挙げられた。また独自のB2B電子商取引プラットフォーム設立と既存プラットフォームでの能力強化という二つのアプローチが紹介された。カナダアジア太平洋財団のHarrison氏は、バーチャル貿易ミッションの包括性向上や費用削減などのメリットを報告する一方、参加者間の接続環境格差やタイムゾーンの違いなどの課題も指摘した。米州開発銀行のVolpe Martincus氏は、機械学習技術を活用したより的確な照準を絞ったプロモーション活動の実施や、デジタルマーケットプレイスとの連携による企業国際化支援の重要性を強調した。聴衆アンケートでは、コロナ禍対処方法のベストプラクティス共有やAPEC加盟エコノミー間の調整、貿易促進事業効果の正確な評価方法への関心の高さが示され、今後も同様の調査やディスカッションを望む声が得られた。
