令和3年度産業経済研究委託事業(製造業等の物流の効率化に係る調査研究)調査報告書

掲載日: 2022年6月2日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ消費・流通政策課物流企画室
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報告書概要

この報告は、建材・住宅設備業界の物流効率化と着荷主事業者の輸送部門におけるエネルギー使用状況について書かれた報告書である。

第一章では、2024年の物流危機と働き方改革関連法の施行を背景に、フィジカルインターネット実現に向けた建材・住宅設備業界のアクションプランが検討されている。現状では、EC市場成長や多品種・小ロット輸送の増加により営業用トラックの積載効率が40%を下回っており、トラックドライバーの減少・高齢化が深刻化している。アンケート調査では203件の回答を得て、ガイドラインに記載された取組のうち「到着予定時間及び荷卸し可否を事前確認」以外は実施率が低く、多くの企業が「自社のみでは対応できない」と回答した。事業者インタビューでは、物流危機が既に顕在化しており、サプライチェーン全体での情報連携と計画化が必要不可欠であることが確認された。特に工事現場での附帯作業の契約不明確性やピンポイントな着荷時間指定が配車計画の阻害要因となっていることが明らかになった。2030年の現実解として、垂直統合による配送条件の明確化と情報連携による計画化、および水平連携による共同輸配送体制の構築が設定されている。

第二章では、着荷主事業者の調達物流における省エネルギー化の取組状況が調査されている。237件の回答企業を対象とした調査では、「発注ロットの平準化」「モーダルシフトの推奨」「共同配送・混載便の推奨」「荷待ち時間の削減」「余裕を持った納期設定」等の基本的な取組が確認された。しかし、取組を行わない理由として「具体的な手法が分からない」「人的・金銭的リソース不足」に加え、「着荷主で取り組むべきものではない」という意識の薄さが浮き彫りになった。調達物流では運送事業者との直接契約がないことが多く、管理範囲外という構造的要因により省エネルギー化の検討が進まないケースが確認されている。今後は啓発活動の促進や具体的な取組を例示するガイドライン策定、輸送全体のCO2排出量に影響する事業者への適正な取組・努力を課す仕組みが必要である。