令和3年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(産業保安に関連する課題に対する新たな解決アプローチ推進調査-簡易型保安力診断手法の開発)報告書

掲載日: 2022年6月2日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ保安課
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令和3年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(産業保安に関連する課題に対する新たな解決アプローチ推進調査-簡易型保安力診断手法の開発)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、産業界における簡易型保安力診断手法の開発について書かれた報告書である。

令和3年度に保安力向上センターが実施した本調査は、省エネ・低炭素化が進む中で産業安全の重要性が高まっている状況を背景としている。現場の年齢層若返りによる技能伝承の遅れや設備老朽化、サプライチェーンの複雑化により、小規模工場の安全障害が全体に影響する可能性が指摘されており、様々な産業で活用できる簡易的な保安力診断手法の開発が必要となっている。

センターが策定した保安力評価表を活用し、安全基盤と安全文化に関するアンケート実施、集計結果分析、グループ討議やインタビュー、改善点抽出の一連の工程により簡易診断手法を構築した。対象として事故リスクが想定される6業種を選定し、有機材料製造、有機材料加工、金属機械加工、半導体電子材料製造、廃棄物処理リサイクル、工事保全の各分野で検討を進めた。

簡易診断では保安力を「安全のための業務運営の仕組み」と「安全を優先する風土」として表現を変更し、中規模企業にとって理解しやすい形式とした。アンケート項目を絞り込み、3段階評価により定量化を図り、回答者が容易に判断できるよう工夫した。センター正会員や関係会社への聞き取り調査を通じて課題を整理し、有識者委員会での検討を経てアンケート票を策定した。

実際に3社4事業所で試行を実施し、アンケート結果の背景把握のためのグループインタビューも行った。試行結果から改善すべき課題を抽出し、中規模企業が取り組むための具体的な課題を整理した。また、安全推進における経営層の役割について重要項目をまとめ、安全担当者へのアンケートも実施した。

本調査により簡易型保安力診断の基本的な仕組みが構築されたが、今後の普及に向けては診断実施体制の整備、結果活用方法の具体化、経営層の関与促進などの課題が残されている。