令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(諸外国等における経済の電子化に関する課税の動向等を踏まえた我が国の国際課税等の在り方に係る調査研究事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、OECD を中心とした経済のデジタル化に伴う国際課税ルールの改革に関する調査報告書である。デロイト トーマツ税理士法人が経済産業省からの委託を受けて実施した令和3年度の調査事業として、諸外国における経済の電子化に関する課税動向を踏まえた我が国の国際課税等の在り方について包括的な分析を行っている。
報告書は主にOECDの「経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対応する二つの柱の解決策」に関する2021年7月および10月の声明を中心として、国際的な税制改革の動向を詳細に調査している。ピラー1では、グローバル売上高200億ユーロ超かつ税引前利益率10%超の多国籍企業を対象として、超過利益の25%を市場国に再配分する仕組みが合意されている。ピラー2では、最低税率15%のグローバルミニマム税制(GloBEルール)の導入が決定されており、これらの制度は2023年の実施を目標としている。
各国の動向調査では、デジタルサービス税の導入状況について、米国、EU、英国、フランス、カナダ、インド、トルコなどの最新の制度設計や政策対応を分析している。特に米国による対抗措置や各国間での政治的合意の形成過程、既存のデジタルサービス税の取り扱いについて詳細な検討が行われている。また、ピラー2の国内法制化に向けた EU指令案、英国協議文書、米国税制改正案などの具体的な制度設計についても比較分析を実施している。
さらに報告書では、日本企業の国際競争力強化および経済活性化の観点から、企業や有識者を交えた勉強会やヒアリング調査を通じて実務的な課題を整理している。GloBEルールと既存のCFC税制との関係整理、制度の簡素化、無形資産の形成および利用促進に資する税制の在り方などについて、産業界の意見を収集し分析を行っている。これらの調査結果を踏まえて、我が国における今後の国際課税制度の方向性や実務上の留意点について提言を行っている。
