令和3年度重要技術管理体制強化事業(宇宙分野における重要技術の実態調査及び情報収集)調査報告書
報告書概要
この報告は、宇宙分野における重要技術の実態調査及び情報収集について書かれた報告書である。
本調査は経済安全保障の重要性が高まる中、宇宙分野における重要技術について技術基盤の実態、我が国の立ち位置等を正確に把握し、産業競争力の維持及び技術の流出防止等のために必要な取組の方向性を検討することを目的として実施された。調査は4つの主要分野に分かれており、衛星コンステレーション関連技術、人工衛星製造ビジネスの法的課題、衛星データ等地理空間情報活用技術、宇宙太陽光・無線エネルギー伝送技術について詳細な分析が行われている。
衛星コンステレーション関連技術調査では、分光技術、GHG観測技術、通信技術の3つの技術について国内外の研究開発動向とデータ利用動向を調査した。分光技術分野では、Orbital Sidekick社、Pixxel社、HySpecIQ社など海外企業のハイパースペクトルビジネスモデルを分析し、各社の衛星スペックや事業戦略を整理している。通信技術分野では、IoT衛星サービスを提供するSwarm社、Iridium社、Spire社などの動向を調査し、小型衛星による通信サービスの技術的特徴と市場展開状況を分析した。
人工衛星製造ビジネスの法的課題整理では、国際競争力の高い衛星コンステレーション構築に必要な安価・高品質な民生品活用において、部品・コンポーネントメーカが製造者責任法上のリスクを懸念して宇宙ベンチャー等への納入を行わない問題について検討した。部品供給契約における検査・検収、支払条件、損害賠償、契約不適合責任などの法的論点を整理し、取引における留意事項を明確化している。
衛星データ等地理空間情報活用技術調査では、欧米における技術動向とビジネスモデルを分析した。Microsoft Azure SpaceやCopernicus DIASなどのクラウド事業者参入、欧州Destination Earthによるデジタルツイン構築などの最新動向を調査し、官民連携を前提としたデータ連携の動向についても�事項を分析している。
宇宙太陽光・無線エネルギー伝送技術調査では、米国、欧州、中国等における宇宙太陽光発電システム及びマイクロ波・レーザーによる無線エネルギー伝送技術の研究開発動向を調査した。各国のSSPS研究プログラムを比較分析し、技術的課題と実用化に向けたロードマップを整理している。本調査により、宇宙分野における重要技術の国際競争状況と我が国の技術的優位性確保に向けた課題が明確化されている。
