令和3年度産業保安等技術基準策定調査研究等事業高圧ガス保安技術基準作成・運用検討報告書

掲載日: 2022年6月10日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ高圧ガス保安室
委託事業者: 高圧ガス保安協会
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報告書概要

この報告は、高圧ガス保安法における技術基準策定と運用上の課題について検討された報告書である。経済産業省委託により高圧ガス保安協会が令和3年度に実施した調査研究事業の成果をまとめたものである。

高圧ガスは経済活動や日常生活において不可欠であるが、取扱いにはリスクを伴うため、災害防止を目的とした高圧ガス保安法による規制が行われている。同法は大正11年の圧縮瓦斯及液化瓦斯取締法を起源とし、100年間の運用により多くの改正と技術基準の整備が行われてきた。近年は保安人材不足やコスト増大により、現行制度の見直しが求められている状況である。

本事業では5つの主要検討事項が設定された。第一に「その他製造」の運用解釈に関する検討では、現行の規制が設備仕様や用途を限定した「モノ指定」となっているため、リスクが低い設備でも届出が必要となるケースが多く存在することを指摘している。検討の結果、不活性ガスや空気の製造行為で処理能力が0のものを「その他製造」とすることについて、自治体連絡会では保安上の懸念について意見が分かれた。

第二に多段減圧に係る法令上の取扱いについては、半導体製造設備等で使用される多段減圧が製造行為とされることで規制が過重との指摘があり、安全確保を踏まえた見直しの必要性が検討された。第三に在宅酸素療法用酸素ボンベ等の取扱いでは、現行基準が実態に合わなくなってきているため、実際の運用方法や業界ガイドラインを踏まえた基準見直しが検討された。

第四に法定手続きの合理化では、特定設備検査合格証の返納手続きを中心に、バルク貯槽のような長期使用設備における合格証紛失時の対応について検討が行われた。他法令における類似証明書の取扱い調査により、健康保険法や消防法では紛失時の措置が指針等で定められていることが確認された。第五に高圧ガスと危険物の混載制限については、高圧ガス保安法と消防法の規制内容に差異があることから、技術基準の統一化に向けた検討が実施された。

これらの検討を通じて、保安の確保を前提としつつ、実態に即した合理的な規制運用の実現に向けた具体的な見直し案が提示されている。