令和3年度製造基盤技術実態等調査(自動車リサイクル分野における解体業者等実態調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、自動車リサイクル制度における解体業者の実態と電動化・車利用変革による影響について書かれた報告書である。
本調査は、自動車リサイクル法施行から15年が経過した令和4年3月に株式会社エックス都市研究所により実施された。調査目的は、電動化の推進および車の使い方の変革による自動車リサイクルへの影響を把握し、今後の制度のあり方を検討することである。
調査では、解体業者の実態把握として、使用済自動車の仕入・解体状況、中古部品の回収・販売状況、スクラップ販売状況、破砕業者への解体自動車販売状況について文献調査とヒアリング調査を実施した。また、電動化推進と車利用変革による解体業への影響分析として、4つの仮説を設定して検討を行った。
第一の仮説「電動車増加に伴う部品変化」では、現状の電動車普及の主流がハイブリッド車であり、ガソリン車との部品差異が小さいため、当面の影響は限定的であると分析された。第二の仮説「電動化推進に伴う車両軽量化」では、軽量化により鉄スクラップ価格への影響が懸念されるが、2030年度までは大きな影響はないと評価された。
第三の仮説「自動運転普及に伴う安全技術向上」については、事故車減少による中古部品需要への影響が考えられるが、現状では不確実要素が多く、関連データの集積が必要とされた。第四の仮説「カーシェアリング市場規模拡大」では、2030年度時点での解体業への影響は殆どないと想定されたが、将来的な動向の注視が必要とされた。
影響分析結果の総括として、当面2030年頃までは大きな影響は確認できず、緊急性を要する課題はないと評価された。これは日本の電動化がハイブリッド車主流で、純電気自動車の普及率が低いことが主要因である。今後の対応としては、純電気自動車の普及状況の注視、技術情報の収集と業界での共有、影響分析のための知見やデータの集積が重要であると結論づけられた。
