令和3年度重要技術管理体制強化事業(対内直接投資規制対策事業(外国投資ファンド等の動向調査))

掲載日: 2022年6月10日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局貿易管理部 安全保障貿易管理政策課国際投資管理室
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報告書概要

この報告は、外国投資ファンド等の動向調査について書かれた報告書である。日本における対内直接投資規制の適正な運用を目的として、外国為替及び外国貿易法に基づく審査等に活用するため、外国投資家の投資動向等を調査したものである。調査対象は世界における買収等の投資事例10件で、株式会社アイ・アール ジャパンが令和3年4月から令和4年3月にかけて実施した。

報告書では、世界の主要な資産運用会社を総資産規模と日本株投資額の観点から分析している。総資産5兆ドル以上を運用するBlackRock、The Vanguard Group、Fidelity Investmentsを筆頭に、20社の大手運用会社を調査対象としている。また、日本株投資額では10兆円以上を投資するBlackRock、The Vanguard Group、State Street Global Advisorsが上位を占めている。

具体的な買収事例として、台湾のGlobalWafersによるドイツの半導体メーカーSiltronic買収案件を詳述している。2020年末に42億ユーロでの公開買付けを発表し、条件を51億ドルに引き上げたものの、ドイツ政府からの承認が得られず2022年1月に買収を中止した。同様に、シンガポール政府系ファンドGICによるDuke Energy Indianaの株式19.9%取得は、米CFIUSと連邦エネルギー規制委員会の承認を経て2021年9月に完了した。

中国系ファンドの買収事例では、Wise Road CapitalによるMagnachip Semiconductor買収がCFIUSの暫定命令により阻止され、最終的に契約解消となった。一方、TencentによるSumo Group買収は、CFIUSの承認を得て2022年1月に完了している。これらの事例は、各国政府による外国投資審査の厳格化を示している。