令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(ブライダル産業の需要喚起・創出に向けた広報・調査事業)ブライダル産業の構造転換に向けた調査・分析報告書

掲載日: 2022年6月17日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループサービス政策課
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令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(ブライダル産業の需要喚起・創出に向けた広報・調査事業)ブライダル産業の構造転換に向けた調査・分析報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、新型コロナウイルス感染症拡大がブライダル産業に与えた影響と、産業の構造転換に向けた課題について書かれた報告書である。

日本のブライダル産業は、婚姻組数の継続的な減少と披露宴実施率の低下により、新型コロナウイルス感染症拡大前から既に縮小トレンドにあった。業界は結婚式場という日本特有の装置産業として発展し、土日祝日の高稼働率と多くの招待客を前提とした固定費の重い構造で成り立っている。売上原価が約40%、固定費が約55%を占め、営業利益率は約5%と低収益性が特徴である。

新型コロナウイルス感染症の影響により、結婚式の延期・中止が相次ぎ、業界全体の売上は大幅に減少した。しかし、この危機は同時に業界の構造的課題を表面化させ、変革の契機ともなった。調査では、少人数結婚式やオンライン活用への関心が高まり、結婚式に対する価値観の多様化が加速していることが明らかになった。

2030年に向けた中長期的な課題として、まず結婚式の価値向上による実施率と招待客人数の向上が挙げられる。次世代カスタマは個人の価値観を重視し、従来の画一的な結婚式スタイルではなく、自分らしさを表現できる多様な選択肢を求めている。また、ブライダル事業者の収益性向上も重要な課題であり、原価率と固定費率の見直し、披露宴以外の隣接領域への展開、既存施設と人材の有効活用による生産性向上が必要である。

打ち手の方向性として、少人数・カジュアルパーティー領域への対応、平日稼働率向上のための法人利用促進、プランナーやキッチンスタッフの多機能化による生産性向上、生涯顧客価値の最大化などが提示されている。さらに、業界全体としてのプラットフォーム構築や官民連携の強化により、個社の枠を超えた効率化と価値創造が求められる。