令和3年度地域経済産業活性化対策委託費(放射線量測定指導・助言事業)事業報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度に公益財団法人原子力安全研究協会が実施した放射線量測定指導・助言事業について書かれた報告書である。東日本大震災による福島第一原子力発電所事故に伴う工業製品等の風評被害対策として、放射線量測定等を実施し指導・助言を行うとともに、被害の実態把握及び今後の効果的な風評被害対策の提案を目的とした事業である。福島県内の富岡、川内村、中通りの3事務所において放射線管理業務に精通した専門家を配置し、福島県を中心とする企業等からの要請に応じて現地測定、持込測定、核種分析を実施した。測定機器としてNaIシンチレーションサーベイメータ、GMサーベイメータ、ゲルマニウム半導体検出器を使用し、JIS規格に準拠した測定方法により実施された。測定実績では現地測定4企業54試料、核種分析41企業559試料の依頼があり、大部分の測定結果はバックグラウンドと有意差がない結果であったが、一部で基準値を超過する検体も確認された。企業へのアンケート調査により風評被害の実態を把握し、多くの企業が風評被害を受けた経験があり、製品の販売価格や売れ行きに影響が生じていることが明らかとなった。測定需要は継続しており、取引先からの測定結果提出要求や企業の安全性確保意識により測定が実施されている現状が確認された。今後の風評被害対策として、正確な情報発信、測定体制の継続、企業支援の充実が必要であると提案されている。
